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新規出店が閉じたいま、厨房の空き時間をどう収益化するか。自分の店で6ヶ月運営した実数で、ブランドを借りる場合と自前で持つ場合を比べます。

2026年7月1日以降、中小規模・個人営業のバーチャルレストランは新規出店ができなくなりました。

最初に私の立場を明かしておきます。初めまして、株式会社8Deliciousの関根和樹です

私は東京で複数の実店舗を運営していて、その厨房の空き時間からデリバリー専用のブランドを立ち上げた側の人間です。つまり今回の規制は、私自身が当事者として食らっている話でもあります。

この記事に出てくる数字は、支援会社の資料からの引用ではありません。自分の厨房で、実際に回して取ったものです。都合の悪い数字も含めて、そのまま書きます。

大手支援会社も、答えを出せていない

今この件で一番はっきりしていることから書きます。

Uber Eatsの正規代理店として最高ランクを3年連続で獲得している支援会社が、自社サイトのFAQでこう自問しています。「受付終了後も、自社サービスを通じてUber Eatsにバーチャルレストランを出店できますか」と。

回答は、正規代理店として出店のサポートは行っているが、受付終了後の個別案件については最新の方針をふまえた対応が必要になるため、詳細は問い合わせてほしい、というものでした。

「できます」とは書かれていません。

自分で立てた質問に、正規代理店が断言を避けています。もし代理店経由で新規出店が可能なら、それは最強の営業フックになります。書かない理由がありません。書いていないということは、現時点で確約できる状態にない、と読むのが自然だと思います。

「大手経由なら大丈夫」と聞いている方は、一度ここを確認したほうがいいです。

同じ支援会社の比較表を見ると、自社サービスの掲載先は「Uber Eats・出前館など複数」となっています。つまり規制を回避したのではなく、出店先を出前館などにスライドさせた、というのが実態に近いはずです。

私はこれを合理的な判断だと思っています。ただ、そうであるなら、大手に頼めばUber Eatsに出せる、という期待は持たないほうがいいです。

維持基準の数字が確定した

もうひとつ、重要な数字が明確になりました。

2026年3月から適用されているバーチャルレストランの維持基準は、月45件の注文です。下回り続けると店舗が非表示になります。既存店は継続できますが、この基準を満たし続けることが条件になりました。

この線が、設計の前提を変えます。

月45件が、複数ブランド戦略を静かに否定している

公開されている成功事例を見ると、月商498万円アップの居酒屋は5ブランド、341万円アップの中華居酒屋は6ブランド、204万円アップのカレー店は3ブランドを展開しています。

合計で見れば立派な数字です。ただ、評価はブランド単位で走ります。

伸びたブランドと伸びなかったブランドが混在したとき、後者から順に基準に抵触します。ブランドを増やすほど1ブランドあたりの注文は薄まるので、この設計は構造的に非表示のリスクを抱えることになります。

「たくさん並べて当たりを探す」という戦い方が、2026年3月以降は使いにくくなりました。これは支援会社の力量の問題ではなく、ルールが変わったということです。

数字で見る、借りる場合と持つ場合

私の店で6ヶ月運営した実績は、月商平均150万円でした。

ただし、初月からこの数字が出たわけではありません。レビューが溜まり、メニュー構成が固まり、時間帯ごとの注文の癖が見えてくるまでには時間がかかります。6ヶ月の平均値として150万円、という意味です。

以下の比較は、あえて実績より低い**月商135万円(客単価1,500円×30注文/日)**で計算しています。モデルは控えめに置くほうが、検証してもらいやすいと考えているからです。

手数料は税込38.5%で計算しています。よく「35%」と表記されますが、これは税抜です。課税事業者なら仕入税額控除で実質35%に戻りますが、免税事業者や簡易課税では38.5%がそのまま負担になります。ホテル・旅館・セントラルキッチン・給食委託はほぼ課税事業者なので35%、個人店や小規模の惣菜製造では38.5%と、分けて見る必要があります。

この区分に触れている支援会社のサイトを、私はまだ一つも見つけていません。

自前で持つブランドを借りる
プラットフォーム手数料 38.5%51.98万円51.98万円
原価・包材27.00万円(20%)33.75万円(25%)
ロイヤリティ 10%0円13.50万円
サービス利用料0円3.30万円
貢献利益56.00万円32.47万円
人件費0円−13.70万円
手残り56.00万円18.77万円
売上に対する率41.5%13.9%

差は月37.2万円、年間で約447万円。

人件費の前提を書いておきます。自前の場合は、固定給の厨房スタッフが空いている時間に対応するため、稼働率が上がっても支払う人件費は変わりません。一方、ブランドを借りる場合は、本部が用意したメニューに合わせた別のオペレーションになるため、専任の手が必要になります。月900注文を1注文7分、時給1,300円で計算すると13.7万円です。

この差の内訳は、ロイヤリティと利用料が16.8万円、人件費が13.7万円。どちらも、自前で持てば発生しません。

実績の150万円で計算すると、貢献利益は月62.25万円。6ヶ月の累計で373.5万円になります。

ひとつ正直に書いておくと、この41.5%という数字を、私は最初「45%」で出していました。手数料を税抜35%で計算していたからです。税込で引き直したら41.5%になりました。下がったほうの数字を使っています。

30注文/日を選ぶ理由

なぜ30注文なのか。理由は2つあります。

ひとつは、月45件の維持基準を確実に上回ること。月900件なので、基準の20倍です。非表示のリスクは実質的に存在しません。

もうひとつが、人件費の扱いが変わる分岐点であることです。

1注文あたりの追加作業は実測で5〜10分。30注文なら1日2.5〜5時間になります。これは「手が空いた時間にちょっと」という量ではありません。パート1名の半日分に相当します。

個人店で時給のスタッフに対応させれば、月9.75〜19.5万円の人件費が乗ります。貢献利益56万円から引けば、36〜46万円まで落ちます。数字としては悪くありませんが、率は確実に下がります。

しかし、固定給のスタッフを抱える施設では、この人件費が発生しません。

ホテル、旅館、セントラルキッチン、給食委託の厨房スタッフは月給制です。稼働率が5割から7割に上がっても、支払う人件費は1円も変わりません。個人店のアルバイト(変動費)とは、コスト構造そのものが違います。

つまり、こうなります。

1日30注文は、個人店では人件費が乗る。固定給のスタッフを抱える施設では乗らない。

このモデルは、施設でしか成立しません。

誰にでも勧められる話ではありません。むしろ逆で、当てはまる相手が明確に限られています。

2026年7月以降に取れる設計

① 既存店アカウント内でのメニュー展開

規制されたのは「別ブランドでの新規出店」であって、実店舗のアカウントにデリバリー向けメニューを追加することではありません。屋号を立てる自由度は失われる代わりに、実店舗の信用をそのまま乗せられます。

Uber Eatsが向かっている「実店舗中心」という方向とも矛盾しないため、中長期での安全度が高い選択です。

② 出前館・Rocket Nowへの分散

出前館は同様の規制を発表していません。手数料率は高めで入金サイクルも月2回と遅いですが、ファミリー層・中高年層に強く、LINEからの導線を持っています。

Rocket Nowは2025年1月開始の新興で、ユーザー側の送料・サービス料無料を打ち出し、食べログとのタイアップで発見の導線も作っています。加盟店を集めたい段階なので、条件面で交渉の余地が残っています。

大手支援会社も、実質的にここへ移っています。この点では、大手と条件は変わりません。

③ 規模要件を満たす事業者としての確認

Uber Eatsの通知は、対象を「中小規模・個人営業」と限定しています。裏を返せば大規模事業者は対象外と読めますが、何をもって大規模とするかの基準は公開されていません。

ホテル、旅館、セントラルキッチン、給食委託事業者がこの定義から外れる可能性は残っています。確定情報ではないので、正規代理店経由での個別確認を強くおすすめします。この一点で、取れる選択肢が完全に変わります。

私にできないこと

ここまで読んで、相談を考えてくれた方のために、先に書いておきます。

スピードでは大手に勝てません。 最短2週間で開業できる仕組みは持っていません。ブランドを一から設計するので、立ち上げには時間がかかります。といっても数日増えるだけですが、、

110種類のブランドも持っていません。 選ぶ楽しさはありません。その施設で何が売れるかを、一緒に考えるところから始まります。ですが自社ブランドも数十店舗は抱えているので大手ほどないにしても"売れるブランド"は多少持っておりますよ

小ロットの食材物流網もありません。 大手グループが持っているような供給網は、個人のコンサルタントには作れません。その代わりに選りすぐりの流通は確保してあります

初期投資ゼロでは始められません。 借りるモデルの最大の強みはここで、そこは正直に負けています。

だから、利益出なくていいからとにかく早く安く始めたい方には、大手のブランド提供型のほうが合っています。これは本気でそう思っています。

私にできること

一方で、できることも相当にあります。

経営コンサルタント、マーケターとして5年間で139名の経営者を支援し、12店舗以上の現場に入ってきました。成功確率は93.8%で全ての支援者の売上を6カ月で最低でも150万は上げております。デリバリーはその中で最後に手をつけた領域です。理由は単純で、自分の店で結果が出るまで人に勧めたくなかったからです。

自分の厨房でブランドを立ち上げ、6ヶ月運営して月商平均150万円、貢献利益率41.5%という数字を取りました。メニュー設計、原価構成、包材の選定、価格設定、写真、メニューの文章、レビュー対応まで、全部自分でやった結果です。

そして重要なのは、そのブランドが私の資産であることです。誰からも借りていないので、誰にも返す必要がありません。明日コンサルをやめても残り続けます。

同じことを、お客様の厨房で起こす。それが仕事の中身です。

何が資産として残るか

今回の件で、はっきりしたことがあります。

プラットフォーム上の屋号、レビュー、評価、露出、出店の可否。これらは全部、決定権が向こうにあります。積み上げても、方針が変われば扱いが変わります。実際、変わりました。

一方で、残るものもあります。

  • 厨房の空き時間を回す運用設計
  • それを回せるようになったスタッフの技術
  • 原価・包材・提供時間の型
  • 自社サイト・LINE・電話での直販の導線
  • 法人向け、医療機関向けの弁当・ケータリングなど、プラットフォームを介さない販路

これらは、どのプラットフォームが何を発表しても消えません。販路が変われば、同じ型を別の販路に載せ替えるだけです。

デリバリーは、その型を最も早く立ち上げられる入口として優秀です。ただし入口であって、建物ではありません。

2026年7月、その違いが誰の目にも見える形で現れました。借りたブランドは返すことになり、借りた土地は貸主の都合で使えなくなります。残るのは、自分で建てたものだけです。

眠った厨房の実力を、もっと多くの食卓へ。

こんな方に向いています

✅ ホテル・旅館・セントラルキッチン・給食委託で、厨房に稼働していない時間がある

✅ 厨房スタッフが固定給で、稼働率を上げても人件費が増えない体制

✅ 7月の規制で、検討していたデリバリー展開が止まってしまった

✅ 支援会社から「弊社経由なら可能」と聞いたが、確証が取れていない

✅ 売上ではなく貢献利益で判断したい

✅ 「実際にやった人」の数字で判断したい

✅ 数年後に、自社の資産として残るものを作りたい


∞Deliciousでは、この条件に当てはまる施設に絞って支援しています。「うちの厨房と人員で、月にいくら見込めるのか」を一緒に計算するところから始めますので、お気軽にご相談ください。

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※試算の前提について

手数料は税込38.5%(課税事業者は仕入税額控除により実質35%)。ロイヤリティ10%・サービス利用料月33,000円は公開されている料金の一例で、条件は各社で異なります。月商150万円は自社ブランドを6ヶ月運営した平均値、原価・包材20%、客単価1,500円、1注文あたりの作業時間5〜10分は、いずれも自社の実測値です。立地・商圏により結果は変動し、成果を保証するものではありません。維持基準および規制の適用範囲については、Uber Eats公式および正規代理店への確認をおすすめします。

関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業

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