
食材費が上がり続け、利益が残りにくい給食会社へ。土日や夕方に空く厨房を使い、家賃も人も増やさずデリバリーで利益を足す方法と、始める前に確認すべき契約・表示のポイントを解説します。
結論:土日・夕方の厨房は、利益の柱に変えられる。ただし「どの厨房か」の確認が先
給食の厨房は、平日の昼に向けて動き、土日や夕方は空くことが多い場所です。この空き時間は、デリバリーの売上に変えられる可能性があります。
大量調理の技術、献立を組む力、衛生管理の仕組み。デリバリーに必要な力は、すでに揃っています。空き時間で回せば、新しい固定費や人件費はほとんど増えず、1食目から利益が残る形を作れます。
ただし、給食会社ならではの注意点があります。委託先の施設の厨房は、自社の判断だけでは別の用途に使えない場合があります。自社で持っている厨房か、契約上使ってよい厨房かを、最初に確認してください。
株式会社∞Deliciousの関根です。私は17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。その経験から、給食会社が空き時間を利益に変える手順をまとめます。
こんな給食会社に向いています
「また食材費が上がった。これじゃ売上が立っても、利益が全然残らない。」
給食会社の経営者から、よく聞く悩みです。次のどれかに当てはまるなら、この記事が役に立ちます。
- 自社の厨房やセントラルキッチンが、土日や夕方に空いている
- 値上げ交渉だけに頼らない、利益の柱がほしい
- 新しい事業を始めたいが、人も体力もノウハウも足りない
- 自社の料理を、施設の外の人にも「おいしい」と言ってほしい
給食会社がデリバリーでつまずく3つのパターン
1. 契約を確認せずに委託先の厨房を使う
学校や病院、企業の施設に入って調理している場合、その厨房は委託先のものです。空いているからといって、自社のデリバリーに使ってよいとは限りません。契約の範囲を確かめずに始めると、本業の取引に影響しかねません。
2. 給食の価格感覚のまま値付けする
給食は、一食あたりの単価を細かく抑える世界です。その感覚のままデリバリーの価格を決めると、手数料と梱包費で利益が消えます。デリバリーは、手数料を織り込んだうえで利益が残る価格を先に決める商売です。
3. 表示や衛生の確認を後回しにする
一般のお客様向けの販売では、原材料やアレルギーの表示など、給食とは違う確認が必要になる場合があります。始める前に確認しておきましょう。
空き時間を利益に変える5つの手順
手順1:使える厨房を確認する
自社で持っている厨房やセントラルキッチンか、委託先の厨房かを整理します。委託先の厨房を使いたい場合は、契約の範囲と、委託先の了解が必要かを必ず確認します。
手順2:空く時間と、動ける人を書き出す
土日、夕方、長期休暇中など、厨房が空く時間を書き出します。その時間に動けるスタッフがいるかも、あわせて確認します。
手順3:配達できる範囲に、注文する人がいるかを確認する
厨房の周りに住宅地やオフィスがあるかを確認します。デリバリーアプリで厨房の住所を入れ、近くにどんな店が出ているかを見るのも手がかりになります。
手順4:献立の力を「1人前メニュー」に変える
栄養バランスを考えた献立づくりは、給食会社の強みです。その力を、運んでもおいしい1人前の丼や弁当に落とし込みます。品数は3〜5品に絞り、今の仕入れで作れるものを選びます。
手順5:手数料を織り込んだ価格で、小さく始める
手数料と梱包費を差し引いても利益が残る価格を先に決めます。最初は少ない品数と限られた時間で出し、実際に何件さばけるかを測りながら広げていきます。
私の実例:空き時間で回すから、利益がそのまま残る
私は自分の店でデリバリーの利益設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。1注文あたりの追加作業は、実測で5〜10分でした。
私の店は飲食店ですが、「厨房も人も本業ですでに揃っていて、空き時間を使う」という構造は給食会社でも同じです。試算すると、次のようになります。
| 1食の価格 | 1食あたりの貢献利益(45%) | 1日30食の場合 | 月の貢献利益(30日) |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 450円 | 13,500円 | 約40.5万円 |
| 1,500円 | 675円 | 20,250円 | 約60万円 |
※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロ、30日稼働を前提にした試算です。土日や夕方のみの運用では稼働日数が変わるため、実際の利益は日数・価格・原価・手数料の条件によって変わります。
一食の原価を細かく管理してきた給食会社なら、原価を円で押さえて価格を組み立てる考え方は、すでに身についているはずです。
よくある質問
Q. 委託先の施設の厨房で始めてもいいですか?
契約の内容によります。委託先の厨房は、自社の判断だけでは別の用途に使えないことがあります。契約書を確認し、必要であれば委託先に相談してください。自社で持っている厨房から始めるのが確実です。
Q. 土日に動けるスタッフがいません。
平日の空き時間にまとめて仕込み、土日は盛り付けと受け渡しだけにする設計にすれば、少ない人数でも回せます。受け付ける時間を短く区切るのも有効です。
Q. アレルギーの表示はどうすればいいですか?
一般のお客様向けの販売では、原材料やアレルギーの表示が求められる場合があります。表示の基準は、公式情報や管轄の保健所で確認してください。
Q. 値上げ交渉の代わりになりますか?
代わりではなく、別の柱です。値上げ交渉は本業の利益を守る取り組み、デリバリーは空き時間から新しい利益を足す取り組みです。両方を進めることで、経営の余裕が生まれます。
まとめ:その大量調理力を、街の「おいしい」に変える
給食の厨房の空き時間を動かすのに、新しい設備も、新しい人も必要ありません。
- 使ってよい厨房かを、契約から確認する
- 空く時間と動ける人を書き出す
- 配達できる範囲に、注文する人がいるかを確かめる
- 献立の力を1人前メニューに変える
- 手数料を織り込んだ価格で、小さく始める
この流れで、土日や夕方の厨房を、1食目から利益が残る時間に変えられます。
∞Deliciousでは、「どの厨房なら始められるか」「空き時間で何件回せるか」を一緒に整理するところから支援しています。メニューづくりや運用をまとめて任せたい方にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業


