
デリバリー市場は本当に伸びているのか。コロナ禍で一気に広がった後、いま何が起きているのか。その数字をお店側がどう受け止めるべきかを、自店で実証した∞Delicious代表、関根和樹が解説します。
結論:市場はもう急拡大していない。それでも参入する意味はある
デリバリー市場は、コロナ禍で一気に2倍近くまで広がりました。ただ、その後は伸びが止まり、少し増えたり減ったりを繰り返しています。
こう書くと「じゃあ今さら始めても遅いのでは」と思われるかもしれません。でも、市場が伸びているかどうかと、あなたの店で利益が出るかどうかは、全くの別の話です。
市場が2倍になっても、設計が悪ければ利益は残りません。逆に市場が横ばいでも、空いている厨房を使い、手数料を織り込んだ価格で出せば、利益は残ります。判断すべきは「市場の勢い」ではなく「自分の1件でいくら残るか」です。
株式会社8Deliciousの関根和樹です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。
こんな方に向いています
✅ 「デリバリーはもう遅い」と言われて迷っている
✅ 逆に「まだ伸びている」と聞いて、始めようか考えている
✅ 数字を見て、自分で判断したい
✅ 新規事業として検討していて、社内を説得する材料がほしい
市場は4つの時期に分けて見る
① コロナ前:静かに伸びていた市場
もともと出前や宅配は、毎年数%ずつ緩やかに伸びる程度の市場でした。特別な業態ではなく、そば屋や寿司屋の出前が中心だった時代です。
② コロナ禍:一気に2倍近くへ
外食に行けなくなり、「外で食べる」が「家で頼む」に置き換わりました。プラットフォームが配達エリアを全国に広げ、それまで使ったことのない層が使い始めました。ここで市場の規模は一気に膨らみます。
③ 外出が戻ってから:初めて前の年を下回る
店内飲食が戻ると、デリバリーの数字は初めて前年割れします。ただ、コロナ前と比べれば大きく高い水準は保ちました。つまり、コロナで生まれた習慣は消えずに残ったということです。
④ いま:伸びは止まり、増えたり減ったりしている
ここが重要なところです。金額が伸びた年でも、その中身は「注文の回数が増えた」のではなく「1回あたりの単価が上がった」ことによる伸びでした。値上げによる金額の伸びであって、利用そのものが増えたわけではありません。
「市場が伸びているから儲かる」は成り立たない
市場の数字が伸びていても、それは業界全体の合計です。その中身は、値上げによる単価の上昇でした。
もっと分かりやすい話をします。プラットフォーム自身が、手数料ビジネスだけでは黒字にできず、赤字を続けてきた会社もあります。市場の真ん中にいる会社でさえ、簡単には儲からない構造だということです。
だからこそ、店側は「市場の波に乗る」のではなく、「自分の1件あたりの利益を自分で設計する」必要があります。ここを他人任せにすると、どれだけ市場が伸びても手元には残りません。
※ここで触れた市場の動きは、調査会社の公表値や各社の決算にもとづくものです。記事を公開する際は、最新の数字と出典を確認してください。
私の実例:市場ではなく、自分の1件を設計する
私は自分の店でデリバリーの利益設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。本業のスタッフが空き時間に対応したため、追加の人件費は発生していません。1注文あたりの追加作業は、実測で5〜10分でした。
| 1食の価格 | 1食あたりの貢献利益(45%) | 1日30食 | 月の貢献利益(30日) |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 450円 | 13,500円 | 約40.5万円 |
| 1,500円 | 675円 | 20,250円 | 約60.8万円 |
※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。1日30食は、1件5〜10分として合計3〜4時間ほどの作業量になります(仕込みを前倒しした場合)。実際の利益は、価格・原価・手数料の条件によって変わります。
この数字は、市場が伸びたから出たものではありません。価格の設計と、固定費を増やさない前提から出たものです。
よくある質問
Q. 今から始めるのは遅いですか?
市場の急拡大には乗り遅れています。ただ、始めるかどうかは、市場の勢いではなく「あなたの厨房の空き時間で、1件あたりいくら残るか」で決めるべきです。
Q. 競合が増えているのでは?
アプリ内の競合は増えています。だからこそ、大手と同じ土俵で価格勝負をせず、自分の商品が比べられにくい売り場を選ぶことが重要になります。
Q. これから市場はどうなりますか?
予測はできません。ただ、プラットフォーム側の競争が激しくなり、加盟店にとっての条件も変わり続けます。どこに出すかを選べる目を持っておくことが、一番の備えになります。
まとめ:見るべきは市場ではなく、自分の1件
✅ 市場はコロナで倍増し、その後は伸びが止まっている
✅ 金額が伸びた年の中身は、単価の上昇によるものだった
✅ プラットフォーム自身も、手数料だけでは簡単に儲からない
✅ だから店側は、1件あたりの利益を自分で設計する
✅ 判断材料は市場の勢いではなく、空き時間と1件の貢献利益
市場の話は、始めるかどうかの判断材料としては弱いものです。自分の厨房で何件回せて、1件でいくら残るのか。ここを出したほうが、よほど確かな判断ができます。
8Deliciousでは、その計算を一緒に行っています。お気軽にご相談ください。
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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業


