店で出せばおいしい料理が、届くとがっかりされる。その差はどこにあるのか。デリバリー専用メニューを選ぶ5つの視点と、出す前に必ずやるテスト方法を解説します。

結論:デリバリーは「作った瞬間」ではなく「届いた瞬間」で評価される

店で出せば文句なしにおいしい料理が、デリバリーでは低い評価をもらうことがあります。料理の腕が落ちたわけではありません。評価される場所が違うだけです。

お客様が食べるのは、作ってから15分から30分後。揺られて、フタをされて、蒸気がこもった状態の料理です。だから選ぶ基準は「店でおいしいか」ではなく、「その状態でもおいしいか」になります。

ここを外すと、どれだけ写真や価格を工夫しても、低い評価が積み上がって取り返しがつかなくなります。メニュー選びは、デリバリーで一番最初に、一番慎重にやるべきところです。

株式会社8Deliciousの関根和樹です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。

こんな方に向いています

✅ 店の看板メニューをそのままデリバリーに出そうとしている

✅ 出してみたが、低い評価がついて理由が分からない

✅ 何を出せばいいか決められず、止まっている

✅ 「うちの料理はデリバリーに向かない」と思っている

商品を選ぶ5つの視点

1. 時間に耐えられるか

作ってから20分から30分たっても、味と食感が保てるか。特に脂が固まる料理は、冷めた瞬間に別物になります。部位や切り方を変えるだけで、耐えられるようになることもあります。

2. 揺れに耐えられるか

バッグに入って運ばれる間、料理は揺れ続けます。盛り付けが片寄らないか。タレとご飯が混ざって団子にならないか。ここは実際に運んでみないと分かりません。

3. 湿気に耐えられるか

フタをした瞬間から、容器の中では蒸気がこもります。揚げ物の衣がしなびる、ご飯がべちゃつく、海苔が張り付く。タレを別添えにする、油や海苔で下敷きを作るなど、対策は色々あります。

4. 汁が漏れないか

バッグの中で斜めになっても漏れないか。漏れた瞬間、料理の味に関係なく最低の評価になります。フタのはまり具合は、実際に傾けて確かめてください。

5. 同じものを作り続けられるか

ピーク時に、誰が作っても同じ盛り、同じタレの量で出せるか。ここがぶれると、リピーターほど「前回と違う」と感じます。

テストは「置くだけ」で終わらせない

よくあるのが、作って30分置いて食べてみる、というテストです。これでは足りません。

実際の容器と袋に入れて、次の4つの条件を全部通してください。

  1. 30分放置する — 実際に届くまでの時間
  2. 運搬の揺れを再現する — 自転車のカゴやバッグに入れて、実際に走る
  3. 夏を想定する — 蒸れた状態で食べてみる
  4. 冬を想定する — 冷えた状態で食べてみる

この4条件を通った料理だけを、主力に据えます。手間に感じるかもしれませんが、低い評価を取り返す労力に比べれば、はるかに軽い作業です。

「うちの業態は無理」を疑う

「麺は伸びるからできない」「揚げ物はしなびるから無理」。よく聞く言葉です。

でも、麺と汁を分けて別容器にする、衣の配合を変える、仕切りを入れる。工夫のしようはあります。実際に、できないと思われていた業態で成り立っている例はいくつもあります。

諦める前に、まず4条件のテストをやってみてください。そのうえでダメなら、その商品は外して別の商品で組めばいいだけです。

私の実例:崩れない設計だから、数を出しても評価が落ちない

私は自分の店で丼もののデリバリーを設計しました。タレを別添えにする、ご飯と具を層で分ける、冷めても固まりにくい部位と切り方を選ぶ。こうした細かい工夫の積み重ねで、届いた状態の質を保っています。

そのうえで利益の設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。本業のスタッフが空き時間に対応したため、追加の人件費は発生していません。

1食の価格1食あたりの貢献利益(45%)1日30食月の貢献利益(30日)
1,000円450円13,500円約40.5万円
1,500円675円20,250円約60.8万円

※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。1日30食は、1件5〜10分として合計3〜4時間ほどの作業量になります(仕込みを前倒しした場合)。実際の利益は、価格・原価・手数料の条件によって変わります。

数を出せるのは、崩れない設計ができているからです。評価が落ちる商品で数を出しても、続きません。

よくある質問

Q. 何品くらい出すのがいいですか?

3品から5品に絞ることをおすすめします。品数を増やすほど、原価も仕込みもレビューも分散して、どれも中途半端になります。

Q. 看板メニューが崩れる料理だったら?

主力から外してください。店に来ていただくための看板と、デリバリーの主力は、別で考えていいものです。

Q. 容器はどう選べばいいですか?

「開けた瞬間においしそうに見えるか」と「漏れないか」の両方で選びます。仕切りやタレ用の小カップがあるものは、湿気対策にもなります。まとめて仕入れると1個あたりの費用も下がります。

Q. テストは何回やればいいですか?

主力にする商品は、条件を変えて最低3回。メニューを変えたときも、その都度やってください。

まとめ:30分後においしいものだけを主力にする

✅ 評価されるのは「作った瞬間」ではなく「届いた瞬間」

✅ 時間・揺れ・湿気・汁漏れ・作り続けられるか、の5つで選ぶ

✅ テストは放置だけでなく、揺れと温度の4条件で

✅ 主力は3品から5品に絞る

✅ 「うちの業態は無理」は、テストしてから判断する

ここを丁寧にやるほど、後の集客も価格設定も効いてきます。逆にここが甘いと、何をやっても低い評価に足を引っ張られます。

8Deliciousでは、その店の設備と食材から「何を出すか」を一緒に設計しています。お気軽にご相談ください。

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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業

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