人を増やさずにデリバリーの件数を増やす方法は、速く作ることではなく、当日作らないことです。厨房を組み立て作業に変える6つの前倒しを解説します。

結論:速く作るのではなく、当日作らない

件数を増やしたいとき、多くの人は「もっと速く作ろう」とします。でも、人の手の速さには限界があります。

発想を変えてください。ピーク時に速く調理するのではなく、ピーク時になるべく調理をしない。火入れも仕込みも全部前に倒して、注文が入ったら組み立てるだけにする。これだけで、同じ人数でさばける件数が大きく変わります。

ここで生まれた余力は、2つの使い方ができます。件数を増やして売上を伸ばすか、同じ件数を短い時間で終わらせて自分の時間を取り戻すか。どちらを選ぶかは自由です。

株式会社8Deliciousの関根和樹です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。

こんな方に向いています

✅ ワンオペ、または少人数で回している

✅ 注文が重なると、提供が遅れてしまう

✅ 件数を増やしたいが、人を雇う余裕はない

✅ デリバリーを始めたいが、手が回るか不安

当日から「火を入れる仕事」を消す6つの前倒し

1. 仕込みで8〜9割まで完成させる

当日やるのは「盛る」「温める」だけ。この状態まで、前日か開店前に終わらせておきます。

2. 主役を小分けにして待機させる

ご飯も具も、あらかじめ1人前ずつ計量して並べておきます。注文が入ってから計る作業を、当日に持ち込まない。地味ですが、ここで数十秒が消えます。

3. 容器・袋・箸をピーク前に並べる

探す、取りに行く、という動きをゼロにします。組み立てる場所の手の届く範囲に、必要なものを全部並べておく。動線が1メートル短くなるだけで、積み重なると大きな差になります。

4. タレやソースは作り置きして別添えにする

当日の火入れが消えます。しかも別添えは、湿気で料理がべちゃつくのを防ぐ対策にもなります。作業が減って品質も上がる、一石二鳥の手です。

5. 注文が集まる直前に、まとめて仕込む

朝一で全部やると、提供までに時間が空いて作りたて感が落ちます。注文が入りやすい時間帯の直前に、集中して仕込む。これで鮮度も保てます。

6. 焼きや揚げは、まとめて火を入れる

1件ずつ順番に火を入れるのではなく、1回で複数食分をまとめて処理します。1つずつ順番にやる作業を、並べて同時にやる形に変える。ここが、同時にさばける数を増やす一番の要になります。

1から5で当日の作業を減らし、6で同時処理を増やす

整理すると、1から5は「当日やることを減らす」手です。そして6は「同時に処理できる数を増やす」手です。

この2段構えで、はじめて余力が生まれます。どちらか片方だけでは、忙しさはあまり変わりません。

生まれた余力をどう使うか

前倒しで余力ができたら、次の2つから選べます。

A:件数を増やす — 同じ時間でもっと受ける。売上と利益が伸びます。

B:時間を空ける — 同じ件数を短い時間で終わらせる。自分の時間が戻ります。

どちらが正解ということはありません。ただ、遊休厨房でデリバリーを始める本来の目的は、体を酷使することではなく、空いている資源から利益を生むことです。数字を追って体を壊したら、それは失敗です。

無理なく回る範囲を自分で決めて、それを超えるようなら、根性で伸ばさずに人を足すことを考えてください。

私の実例:1注文あたり5〜10分

私は自分の店で前倒しを徹底した結果、1注文あたりの追加作業は実測で5〜10分になりました。注文が入ってから一から作っていたら、この数字にはなりません。

そのうえで利益の設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。本業のスタッフが空き時間に対応したため、追加の人件費は発生していません。

1食の価格1食あたりの貢献利益(45%)1日30食月の貢献利益(30日)
1,000円450円13,500円約40.5万円
1,500円675円20,250円約60.8万円

※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。1日30食は、1件5〜10分として合計3〜4時間ほどの作業量になります(仕込みを前倒しした場合)。実際の利益は、価格・原価・手数料の条件によって変わります。

1日30食を、ゼロから調理していたら回りません。前倒しがあるから成り立つ数字です。

よくある質問

Q. 仕込みを前倒しすると、味は落ちませんか?

料理によります。だからこそ、前倒しできる料理を選ぶことが大切です。時間がたっても味が落ちにくいものを主力にしてください。

Q. どれくらいの件数まで1人で回せますか?

店の設備と商品によって変わります。まずは小さく出して、実際に測ってください。無理なく回る線を自分で把握することが、人を雇うかどうかの判断材料になります。

Q. 注文が読めないので、仕込みの量が決まりません。

最初は少なめに仕込んで、売り切れたら止めるのが安全です。2〜3週間分のデータが溜まると、曜日ごとの傾向が見えてきます。

Q. 前倒しの作業が負担になりませんか?

前倒しは、手が空いている時間に行う作業です。忙しい時間の負担を、暇な時間に移すのが目的です。総量が増えているわけではありません。

まとめ:ピークに調理しない

✅ 仕込みで8〜9割まで完成させる

✅ 主役を小分けにして待機させる

✅ 容器と箸をピーク前に並べる

✅ タレは作り置きして別添えにする

✅ 注文が集まる直前に、まとめて仕込む

✅ 焼きや揚げは、まとめて火を入れる

人を増やす前に、まずこの6つを試してください。同じ人数で回せる件数が変わります。そして生まれた余力を、件数に回すか時間に回すかは、あなたが決めていいことです。

8Deliciousでは、その店の設備と商品に合わせて、前倒しの手順を一緒に組んでいます。お気軽にご相談ください。

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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業

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