
今ある厨房で、新しい名前のデリバリー専門ブランドを立ち上げる方法。店名の付け方、商品の選び方、既存店との使い分けまでを解説します。
結論:厨房はそのまま、名前だけ新しく作る
バーチャルブランドとは、実店舗を持たず、デリバリー専用で出す名前のことです。今ある厨房で作り、アプリ上では別の店として見せます。
新しく物件を借りる必要も、設備を買う必要もありません。必要なのは、名前とコンセプト、そして専用のメニューだけです。
なぜわざわざ名前を分けるのか。理由は3つあります。店のイメージと違う商品を出せる。売り場(カテゴリ)を自由に選べる。そして、既存店のブランドを傷つけずに実験できる。
株式会社8Deliciousの関根和樹です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。私自身、自分の店の厨房からデリバリー専門ブランドを立ち上げました。
こんな方に向いています
✅ 店の名前やイメージと、デリバリーで売りたい商品が合わない
✅ 取引先や常連の目を気にせず、新しいことを試したい
✅ 厨房に余力があるが、既存の看板では出しにくい
✅ 小さく実験してから、広げるか決めたい
作り方の5ステップ
ステップ1:今ある強みから商品を決める
ゼロから考えないでください。今の仕入れと設備で作れるもの、すでに得意なものの中から選びます。
新しい食材を増やすと、原価もロスも増えます。今あるもので作れて、運んでも崩れない。この2つを満たす商品が候補です。
ステップ2:どの売り場に置くかを決める
商品が決まったら、アプリのどのカテゴリに置くかを考えます。ここで競合の数を数えてください。大手がひしめく売り場は避けて、空いている場所を選びます。
バーチャルブランドの強みは、ここで自由に選べることです。既存店の看板だと「和食」から動けなくても、新しい名前なら別の売り場に置けます。
ステップ3:名前を決める
名前を決めるときのポイントは2つです。
何の店か一瞬で分かること。 アプリの一覧では、写真と名前しか見えません。おしゃれでも、何を売っているか分からない名前は損をします。
商品が具体的に伝わること。 「〇〇キッチン」のような広い名前より、「炭火焼き〇〇」「〇〇専門」のように、商品が浮かぶ名前のほうが選ばれます。
ステップ4:世界観を写真と文章に落とす
名前だけでは伝わりません。1枚目の写真、メニューの説明文、店の紹介文。この3つを、決めた世界観で揃えます。
炭火で焼いているなら、炭火が伝わる写真と言葉に。手作りにこだわっているなら、その手間が伝わるように。バラバラだと、何の店か伝わりません。
ステップ5:小さく出して、数字を見る
最初から完璧を目指さず、3品から5品で出します。2〜3週間、見られた数と注文数を確認して、売り場や写真を調整していきます。
既存店と分けるか、まとめるか
名前を分けるべきか迷う場合、判断の目安はこうです。
分けたほうがいい場合
- 既存店のイメージと商品が合わない
- 既存店の常連に知られたくない事情がある
- 別の売り場を狙いたい
分けないほうがいい場合
- 既存店に知名度があり、それが強みになる
- 管理する手間を増やしたくない
- 商品が既存店の延長線上にある
両方出すこともできますが、その場合はメニューも運用も2倍になります。最初は片方に絞ることをおすすめします。
私の実例:自分の店の厨房から、丼のブランドを立ち上げた
私は自分の店の厨房で、炭火で焼いた肉を使った丼もののデリバリー専門ブランドを立ち上げました。
商品は、店で使っている食材と設備から組みました。新しい仕入れは増やしていません。売り場は、大手が価格で埋めている丼やステーキの棚を避けて、調理法を軸にした別の場所を選びました。
そのうえで利益の設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。本業のスタッフが空き時間に対応したため、追加の人件費は発生していません。
| 1食の価格 | 1食あたりの貢献利益(45%) | 1日30食 | 月の貢献利益(30日) |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 450円 | 13,500円 | 約40.5万円 |
| 1,500円 | 675円 | 20,250円 | 約60.8万円 |
※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。1日30食は、1件5〜10分として合計3〜4時間ほどの作業量になります(仕込みを前倒しした場合)。実際の利益は、価格・原価・手数料の条件によって変わります。
よくある質問
Q. 許可や届出は別に必要ですか?
同じ厨房で作る場合でも、提供する品目や販売の形によって必要な手続きが変わることがあります。始める前に、管轄の保健所に確認してください。
Q. 何ブランドまで作れますか?
技術的には複数作れますが、増やすほど仕込みも管理も複雑になります。まずは1つに集中して、利益が出る形を作ってからにしてください。
Q. フランチャイズのブランドを借りるのとどちらがいいですか?
借りる場合は知名度を使えますが、ロイヤリティがかかり、その分だけ手元に残る額が減ります。自分で作る場合は、認知はゼロから作る必要がありますが、利益はそのまま残ります。どちらが合うかは、地域の認知度と利益率を比べて判断してください。
Q. 既存店のお客様にバレませんか?
住所は表示されるので、気づく人はいます。隠すことが目的ではなく、商品と売り場を自由に選ぶことが目的だと考えてください。
まとめ:名前を変えるだけで、戦える場所が変わる
✅ 今ある仕入れと設備から商品を決める
✅ 競合の薄い売り場を選ぶ(ここが自由に選べるのが最大の利点)
✅ 名前は、何の店か一瞬で分かるものにする
✅ 写真・説明・紹介文を、決めた世界観で揃える
✅ 3品から5品で小さく出して、数字を見ながら調整する
物件も設備も増やさずに、新しい看板で戦える。これがバーチャルブランドの一番の価値です。
8Deliciousでは、商品選びから名前、写真、売り場の選定までまとめて支援しています。お気軽にご相談ください。
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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業


