
手数料が高いからデリバリーはやらない。その判断で、空いた厨房の時間をそのままにしていませんか。手数料を払っても利益が残る仕組みを、自店で実証した∞Delicious代表が解説します。
結論:手数料が問題なのではなく、手数料を織り込んでいないことが問題
「手数料を35%も取られたら、手元に何も残らない」
これは、私が個人店のオーナーから一番よく聞く言葉です。そして実際、店頭と同じ価格のまま出せば、そのとおりになります。
ただ、順番を変えれば結果は変わります。手数料を差し引いても利益が残る価格を先に決めておけば、手数料を払ったうえで利益は残ります。私は自分の店でこの設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。
株式会社∞Deliciousの関根です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。
こんな方に向いています
✅ 手数料が高いから、と考えてデリバリーを避けてきた
✅ 一度やってみたが、利益が残らず止めてしまった
✅ アイドルタイムに厨房が空いている
✅ 数字を見ないまま「儲からない」と判断している気がする
なぜ「残らない」と感じるのか
理由1:店頭と同じ価格で出している
一番多いのがこれです。店で1,000円の料理を、そのまま1,000円で出す。そこから手数料と原価と梱包費を引けば、残りはわずかです。手数料を払っているのではなく、自分の利益から手数料を出している状態になっています。
理由2:梱包費を数えていない
容器、フタ、袋、箸、タレのカップ。1件あたりでは小さな金額ですが、これを原価に入れていないと、計算上は儲かっているのに現金が減っていく、ということが起きます。
理由3:家賃や人件費まで乗せて考えている
遊休厨房を使うデリバリーでは、家賃も設備費も、すでに本業で払っています。スタッフが空き時間に対応すれば、人件費も増えません。デリバリーをやめても同じだけかかる費用を、デリバリーの採算に乗せると、実態より悪く見えます。
大手は、とっくにそうしている
フードデリバリー専門メディア『おいしいデリバリー』が主要チェーンの店頭価格とUber Eatsの価格を比べた調査では、割増率は11%から61%まで幅がありました(2025年12月時点)。牛丼チェーンや弁当店では5割を超える例もあります。
出典:おいしいデリバリー(株式会社AMO)
大手は、データを見ながら「デリバリーでも売れる価格」を決めています。手数料を自分の利益から払っているのではなく、最初から価格に入れているということです。
一方で、店頭と同じ価格で出す仕組みもあります。出前館の「お店価格」がそれで、この場合は上乗せ分をお客様が手数料として払う形になります。どちらを選ぶかは、露出と受け取る額のどちらを優先するかの判断です。
※制度や料率は変わります。最新の条件は各サービスの公式情報で確認してください。
手数料を払っても利益が残る仕組み
価格を先に決める
手数料と梱包費を差し引いても利益が残る価格を、最初に決めます。目安は店頭価格の110〜140%です。店に来てくれるお客様の価格は変えません。配達という別のサービスが乗っているぶん、価格が違うのは自然なことです。
固定費を増やさない
デリバリー専用の厨房を借りたり、人を新しく雇ったりすると、その瞬間にこの仕組みは崩れます。今ある厨房の空き時間と、今いる人の手が空く時間で回すのが前提です。
空き時間に限定する
忙しい時間帯にまで受けると、店内のお客様にも迷惑がかかり、オペレーションも崩れます。受け付ける時間を空き時間だけに絞ると、負担を増やさずに利益だけを足せます。
見方を変える
手数料は、集客の費用だと考えることもできます。自分でチラシを配り、広告を出し、注文を受け、配達員を雇う。これを全部自前でやる手間と費用と比べて、どちらが割に合うか。そう考えると、判断の材料が変わってきます。
私の実例:手数料を払ったうえで、貢献利益率約45%
コロナ禍で、私の店の店内売上は月200万円以上落ちました。夜がだめなら昼へ、来てもらえないなら届けようと切り替え、デリバリーだけで月約200万円を売り上げました。
そのうえで利益の設計をやり直し、貢献利益率約45%を確認しています。これは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る割合です。本業のスタッフが空き時間に対応したため、追加の人件費は発生していません。1注文あたりの追加作業は、実測で5〜10分でした。
| 1食の価格 | 1食あたりの貢献利益(45%) | 1日30食 | 月(30日) |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 450円 | 13,500円 | 約40.5万円 |
| 1,500円 | 675円 | 20,250円 | 約60万円 |
※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。実際の数字は条件によって変わります。
手数料を払いながら、この利益が残っています。手数料が高いかどうかではなく、手数料を織り込んだ設計をしているかどうかが分かれ目です。
よくある質問
Q. 実際の手数料はどれくらいですか?
契約やプラン、サービスによって変わります。自社の条件を、各プラットフォームの公式情報で確認してください。率が分かれば、価格に織り込む計算ができます。
Q. 一度やって失敗しました。もう一度やる価値はありますか?
価格と梱包費の計算をやり直していないなら、価値はあります。前回うまくいかなかった原因が、手数料そのものではなく設計にあった可能性が高いからです。
Q. 手数料の安いサービスに変えたほうがいいですか?
手数料の率だけでは決められません。そのエリアで実際に使われているか、注文が入るかが重要です。まずは1社に絞って、設計を整えるほうが先です。
Q. 自社配達にすれば手数料はかかりませんか?
手数料はかかりませんが、配達の人件費と時間がかかります。プラットフォームは新しいお客様と出会う場として使い、常連には自社配達を、という組み合わせ方を推奨しております。
まとめ:避けるのではなく、織り込む
✅ 店頭と同じ価格で出せば、確かに残らない
✅ 手数料と梱包費を織り込んだ価格を、先に決める
✅ 固定費を増やさず、空き時間だけで回す
✅ 手数料は、集客にかかる費用として捉え直す
「手数料が高いからやらない」という判断で失っているのは、空いている厨房の時間です。その時間は、何もしなければ1円も生みません。
∞Deliciousでは、「あなたの店だと手数料を引いた後にいくら残るか」を一緒に計算しています。計算してみて合わないなら、やらないという判断も含めてお伝えしますので、お気軽にご相談ください。
▶ ご相談はこちら→https://lin.ee/STXP23p
関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業


