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2026年7月1日、中小規模・個人営業のバーチャルレストランは新規出店ができなくなりました。何が起きたのか、既存店はどうなるのか、残っているルートは何かを整理します。

2026年7月1日、Uber Eats Japanは中小規模・個人営業のバーチャルレストランについて、新規出店の受付を終了しました。最終受付日は6月30日。翌日以降、個人店が新しいデリバリー専用ブランドを立ち上げるルートは、事実上閉ざされています。

発表は4月。猶予は2ヶ月半でした。

株式会社8Deliciousの関根和樹です。17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。この記事では、何が起きたのかを順番に整理します。

起きたことを、順番に整理します

この措置は単発ではありません。2026年に入ってからの一連の流れの、最後の一手として置かれています。

1月末 — BPM(バーチャルレストランのブランド管理制度)の本格適用が始まりました。店舗ごと、ブランドごとに評価され、基準を下回るとアカウント停止の対象になります。基準のひとつが、直近84日間の平均注文数45件未満で、かつ出店エリアの平均を下回っている場合。この評価は3ヶ月ごとに継続しています。

3月 — 約1万8千店舗で「店頭価格と同一価格」での提供が始まりました。デリバリーは実店舗より少し高い、というユーザーのイメージを払拭し、実店舗との一体性を前面に出す施策です。

7月1日 — 中小規模・個人営業のバーチャルレストラン、新規受付終了。

理由としてUberが示したのは、グローバルな事業方針と、実店舗を運営しているレストランパートナーのニーズをより的確に支援する目的に沿ったもの、という説明でした。

方向性は一貫しています。量から質へ。そして、実店舗を持つパートナーへの集中です。実店舗を持たないゴーストレストランは、この「実店舗の信頼をそのままデリバリーに乗せる」という設計に、構造的にかみ合わなくなっていました。

既存店はどうなるのか

7月1日に自動的に閉店させられる、ということはありません。現在運営中のバーチャルレストランは継続できます。

ただし「登録さえしていれば安泰」ではなくなりました。BPMの評価は3ヶ月ごとに走り続けています。品質の基準を満たし続けることが、営業継続の条件になりました。

新規は入れない。既存は審査され続ける。入口が閉じ、中では選別が続いている状態です。

「中小規模・個人営業」という限定について

通知文は、対象を「中小規模・個人営業」と限定しています。裏を返せば、大規模事業者のバーチャルレストランは対象外だと読めます。

ただし、何をもって大規模とするのか、その基準は公開されていません。店舗数なのか、法人格なのか、年商なのか、判断材料がありません。

自社がどちらに当たるかは、正規代理店経由で個別に確認することを強くおすすめします。この一点で、取れる選択肢が完全に変わるからです。

なお、ホテル・旅館・セントラルキッチン・給食委託といった施設については、この限定の外に当たることを確認しています。

打撃を受けたのは、飲食店だけではない

ここ数年、デリバリー支援サービスの主力商品は、どこも似た形をしていました。

既存店の厨房を使い、別のブランド名でデリバリー専用店舗を立ち上げる。本部が用意した100種類以上のブランドから選び、最短2週間で開業する。初期費用ゼロ、ロイヤリティは売上の10%程度。

この商品は、加盟店が新しい屋号で出店できることを前提に組まれています。出店できなければ、貸すブランドに価値が残りません。

実際、大手の支援会社は7月以降、「バーチャルレストラン終了後の選択肢」という趣旨の発信を始めました。自社の主力商品が直撃を受けた、ということです。

ブランドを貸すビジネスは、貸した先が出店できないと成立しません。

閉じていないルート

全部が止まったわけではありません。現時点で残っている道は、大きく3つあります。

① 既存店アカウント内でのメニュー追加

規制されたのは「別ブランドでの新規出店」であって、実店舗のアカウントにデリバリー向けメニューを追加することではありません。屋号を立てる自由度は失われますが、既存店の信用をそのまま乗せられます。Uberが向かっている実店舗中心という方向とも矛盾しません。

② 出前館・Rocket Nowへの分散

出前館は同様の規制を発表していません。日本発の老舗として、Uberではリーチしにくいファミリー層や中高年層に強く、LINEアプリからの導線も持っています。Rocket Nowは2025年1月に始まった新興で、ユーザー側の送料・サービス料を無料にする戦略で加盟店を集めている段階です。

③ 規模要件を満たす事業者としての出店

ホテル、旅館、セントラルキッチン、給食委託事業者などは、「中小規模・個人営業」の定義から外れます。この層については、入口が閉じていません。

厨房と人がすでにあり、空いている時間がある。この条件がそろっている施設にとっては、今回の変更はむしろ競合が減る方向に働きます。

この件が示していること

今回の変更で、飲食店側に事前の相談はありませんでした。交渉の場もありません。通知が届き、2ヶ月半後に実行されました。

手数料は38.5%(税込。課税事業者は仕入税額控除により実質35%)を支払っています。それでも、出店できるかどうかを決めるのはプラットフォーム側です。BPMの評価基準も、エリア平均の算出方法も公開されていません。3月の施策では、価格設定にも影響が及びました。

これは特定の企業の問題ではなく、プラットフォームに事業の根幹を預けたときに必ず生じる構造です。どのプラットフォームでも起こりえます。

デリバリーは有効な販路です。それは今も変わりません。ただし、販路であって、事業そのものではありません。

この区別をつけずに設計した事業は、通知一枚で止まります。今回、それが実際に起きました。

こんな方に向いています

✅ 検討していたデリバリー展開が、今回の規制で止まってしまった

✅ 既存のバーチャルレストランを運営していて、今後が不安

✅ ホテル・旅館・セントラルキッチン・給食委託で、厨房に空き時間がある

✅ プラットフォーム一本ではない設計を考えたい


∞Deliciousでは、この変更を踏まえたうえで、いまの条件で何ができるかを整理するところから支援しています。「うちは規模要件のどちらに当たるのか」「既存アカウントで何ができるのか」といった個別の相談もお受けしています。

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関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業

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