
売上が上がった話ではなく、手残りが変わった話です。4件の支援先の数字を、前提条件と一緒に公開します。当てはまらない条件も書きます。
前の記事で、自分の店の厨房でデリバリー専用ブランドを6ヶ月回した数字を全部公開しました。
ただ、自分の店の数字だけでは「その人の店だからできたのでは」で終わります。なので、支援先の数字も条件ごと出しておきます。
4件とも、ご本人の同意をいただいて掲載しています。
先に、数字の読み方を決めておく
読み間違えると意味がないので、3つだけ先に。
1. 売上ではなく手残りで並べます。 「月商◯◯万円アップ」は、手数料も原価も引く前の数字です。この記事では、手数料・原価・包材を引いた後に残った額で並べます。
2. この4件はすべて個人店・飲食店です。 時給のスタッフが対応するため、人件費が乗る側の事業者です。私の店の41.5%(固定給のスタッフが空き時間に対応するため、追加人件費ゼロ)とは、コスト構造が違います。同じ土俵では比べられません。
3. ホテル・旅館・セントラルキッチン・給食委託の事例は、まだありません。 これらの施設は人件費が固定で増えないため、理屈の上では個人店より率が残ります。ただ、実例としてお見せできるものはまだないので、そこは正直に書いておきます。
数字は、条件とセットでなければ意味がありません。
4件の数字
| 業態 | 支援前の手残り | 支援後の手残り | 貢献利益率 | |
|---|---|---|---|---|
| 成田さん | 肉バル2店舗 | 24万円 | 140万円 | 6% → 37% |
| 浅井さん | 居酒屋3店舗 | 12万円 | 108万円 | 8% → 43% |
| まゆさん | お好み焼き1店舗 | 赤字 | 50万円 | マイナス → 42% |
| 佐々木さん | ラーメン1店舗 | 0円 | 63万円 | ー → 42% |
※いずれも月額。個人の結果であり、成果を保証するものではありません。
成田さん(肉バル2店舗)
支援前は、大手のブランドを何店舗も運用していました。デリバリーの売上は約400万円。数字としては立派です。ただ、手元に残っていたのは24万円でした。
売上はあるのに利益が残らない。原因は運用ではなく、設計にありました。借りているブランドのロイヤリティと利用料、そして店頭と同じ価格設定。ここを組み直して、手残りは140万円になりました。
大手のブランドを全部やめたわけではありません。残す部分は残して、自店のブランドを立ち上げて主軸を移しました。
浅井さん(居酒屋3店舗)
「デリバリーをやるほど本業が圧迫される」という状態でした。デリバリーの売上150万円に対して、手残りは12万円。店内の営業に人を取られる分、やるほど苦しくなる構造です。
メニューと価格を設計し直したところ、売上は250万円に伸び、手残りは108万円になりました。ここで大きかったのは、売上が伸びたことより、1件あたりの残りが変わったことです。
まゆさん(お好み焼き1店舗)
デリバリーは導入済みでしたが、ほぼ動いていませんでした。データも見ず、なんとなく登録したまま放置。計算すると、やるほど赤字という状態でした。
数字を見ながら設計し直して、手残りは50万円の黒字に転換しました。派手なことはしていません。何が売れていて、どこで落ちているかを見ただけです。
佐々木さん(ラーメン1店舗)
「ラーメンはデリバリーできない」と思い込んでいて、一度も始めていませんでした。麺が伸びる、汁がこぼれる。よく聞く理由です。
麺が伸びない専用の設計で参入し、ゼロから63万円の柱を作りました。なかった売上と利益を、まるごと生み出した形です。
4件に共通していたこと
業態も規模もバラバラですが、やったことはほぼ同じです。
1. 価格を先に決め直した
4件とも、手数料を織り込んでいませんでした。店頭と同じ価格、あるいは近い価格で出していた。ここを直すだけで、1件あたりの残りが変わります。
2. 借りているものを減らした
成田さんのように、ロイヤリティと利用料を払っていたケースでは、そこが率を押し下げていました。借りる形をやめるか減らすかで、引かれる項目が消えます。
3. 専用メニューに作り直した
店のメニューをそのまま出していると、崩れて評価が落ちるか、原価が合わないかのどちらかになります。届いた瞬間においしい形に組み直しました。
4. 数字を見る場所を決めた
売上ではなく、1件あたりの貢献利益。そして、見られた数・開かれた数・注文された数のどこで落ちているか。見る場所を決めると、打つ手が絞れます。
派手な施策はありません。どれも順番の問題です。
同じ設計が使える条件・使えない条件
「あなたも同じ数字になります」とは言えません。立地も商圏も違うので、当然です。
言えるのは、同じ設計が使えるかどうかだけです。条件は3つあります。
使える条件
- 厨房に、手が空く時間帯がある
- その時間に、既存スタッフの手が空いている
- デリバリーの価格を、店頭と分けて設定できる
この3つがそろっていれば、4件と同じ設計がそのまま当てはまります。
使えない条件
- ピークが1日中続いていて、手が空かない
- 専用のスタッフを雇う前提で始める(固定費が立った時点で別のモデルになります)
- 店頭と同じ価格でしか出せない事情がある
このどれかに当てはまる場合、4件の数字は再現しません。無理に始めても、手残りは薄いままです。
施設の場合はどうなるか
ホテル、旅館、セントラルキッチン、給食委託の厨房は、スタッフが固定給です。稼働率が上がっても、支払う人件費は増えません。
理屈の上では、4件(時給スタッフが対応する個人店)より率が残ります。私の店の貢献利益率41.5%は、その構造で出た数字です。
ただし、施設での支援実績はまだありません。そこは、事例が出るまで正直に書いておきます。
こんな方に向いています
✅ デリバリーの売上はあるのに、手元にお金が残っていない
✅ ブランドを借りて運用しているが、ロイヤリティと利用料の重さが気になる。または気づいていない
✅ 登録したまま放置していて、根本からやり直したい
✅ 「うちの業態はデリバリーに向かない」と思い込んでいる
✅ 厨房に手が空く時間帯がある
向いていない方
正直に書いておきます。次の場合は、お役に立てません。
❌ 1日中ピークで、手が空く時間がない
❌ 専用スタッフを雇って本格的に拡大したい(別のモデルのほうが合っています)
❌ 今月中に結果がほしい(設計から入るので、立ち上げに時間がかかります)
∞Deliciousでは、まず「あなたの店だと1件あたりいくら残るか」を計算するところから始めます。計算してみて条件が合わなければ、やらないほうがいいとお伝えします。
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※掲載について
本記事の4件は、ご本人の同意を得て掲載しています。数字はいずれも月額で、支援前後の手残りの変化を示したものです。個人の結果であり、同じ成果を保証するものではありません。立地・商圏・厨房の空き時間・スタッフの雇用形態によって、結果は変動します。
関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業


