朝食後から夕食の仕込みまで、旅館やホテルの厨房は空いていませんか。家賃も人も増やさず、板前の技術と今ある厨房でデリバリーの利益を足す方法を、∞Delicious代表が解説します。

結論:昼の厨房は、宿の外の食卓につなげられる

朝食が終わってから夕食の仕込みが始まるまで、旅館やホテルの厨房には空く時間があります。この時間は、デリバリーの売上に変えられる可能性があります。

厨房も、設備も、腕のある料理人も、すでに揃っています。家賃や設備費は本業で払っているため、デリバリーのための固定費はほとんど増えません。スタッフが空き時間に対応すれば、追加の人件費も発生しません。1食目から利益が残る形を作れます。

ただし、宿の会席料理をそのまま運ぶことはできません。そして、宿の周りに注文してくれる人がいるかどうかを、始める前に必ず確かめる必要があります。

株式会社∞Deliciousの関根です。私は17歳から飲食の現場に立ち、今も自分の店を経営しながら、厨房を持つ事業者の支援をしています。その経験から、旅館・ホテルが昼の厨房を利益に変える手順をまとめます。

こんな旅館・ホテルに向いています

「昼間の厨房はほとんどの時間ガラガラ。もったいないのは分かってる。でも、何をどうやればいいのか分からないし、誰に聞けばいいのかも分からない。」

宿の経営者から、よく聞く悩みです。次のどれかに当てはまるなら、この記事が役に立ちます。

  • 朝食後から夕食の仕込みまで、厨房と料理人の手が空いている
  • 宿泊料金は上げにくいけれど、利益の柱をもう1本ほしい
  • 新しいことを一からから覚える余力がない
  • 宿の料理を、泊まるお客様以外にも味わってほしい

旅館・ホテルがデリバリーでつまずく3つのパターン

1. 注文する人がいるかを確かめずに始める

デリバリーは、配達できる範囲に注文する人がいて初めて成り立ちます。温泉地や郊外の宿では、周りに住宅やオフィスが少ないこともあります。始める前の見極めを飛ばすと、準備だけして注文が来ない、ということが起きます。

2. 宿の料理をそのまま出そうとする

会席料理は、その場で一品ずつ出すからおいしい料理です。30分揺られて届く料理とは、前提がまったく違います。板前の技術はそのままに、丼や弁当など「1人前で完結する形」に作り直す必要があります。

3. 夕食の仕込みとぶつける

宿の本業は、泊まるお客様へのおもてなしです。夕食の仕込みが始まる時間までデリバリーを受けると、本業に影響が出ます。受け付ける時間は、厨房が本当に空いている時間だけに絞りましょう。

昼の厨房を利益に変える5つの手順

手順1:配達できる範囲に、注文する人がいるかを確認する

宿の周りに、住宅地、オフィス、駅前の市街地があるかを確認します。デリバリーアプリで宿の住所を入れ、近くにどんな店がどれくらい出ているかを見るのも手がかりになります。ここで成り立たないと判断したら、無理に始めないことも大切な選択です。

手順2:空く時間と、動ける人を書き出す

曜日ごとに「何時から何時まで厨房が空くか」「その時間に誰が手を空けられるか」を書き出します。平日と週末で違う宿も多いので、分けて考えましょう。

手順3:板前の技術を「1人前」の形にする

宿の名物や得意な料理を、丼や弁当など、運んでも崩れにくい形に組み直します。品数は3〜5品に絞ります。既存の仕入れで作れるものを選べば、新しいロスも増えません。

手順4:手数料を織り込んだ価格にする

デリバリーには手数料と梱包費がかかります。これらを差し引いても利益が残るよう、価格を先に決めます。宿の料理の価値が伝われば、安売りする必要はありません。

手順5:全部を自分でやらない

写真の撮影、メニュー文、価格の調整、日々の数字の確認。これを全部一人で覚えるのは大変です。自分でやる部分と、人に任せる部分を最初に分けておくと、本業の負担を増やさずに続けられます。

私の実例:空き時間で回すから、1食目から利益が残る

私は自分の店でデリバリーの利益設計をやりきり、貢献利益率約45%を確認しました。貢献利益率とは、食材原価・梱包費・プラットフォーム手数料をすべて差し引いた後に残る利益の割合です。1注文あたりの追加作業は、実測で5〜10分でした。

私の店は飲食店ですが、「厨房も人も本業ですでに揃っていて、空き時間を使う」という構造は、旅館・ホテルでも同じです。試算すると、次のようになります。

1食の価格1食あたりの貢献利益(45%)1日30食の場合月の貢献利益(30日)
1,000円450円13,500円約40.5万円
1,500円675円20,250円約60,7万円

※貢献利益率45%、追加の家賃・人件費ゼロを前提にした試算です。実際の利益は、価格・原価・手数料の条件や、宿の立地によって変わります。

1日30食なら、作業は合計4〜5時間ほど。朝食と夕食の間の時間で、十分に対応できる量です。

よくある質問

Q. 地方の旅館でも成り立ちますか?

立地によります。配達できる範囲に住宅やオフィスが少ない場合、注文が集まりにくいことがあります。始める前に、手順1の見極めを必ず行ってください。

Q. 宿の名前で出したほうがいいですか?

宿の名前で出せば、料理の信頼につながります。一方で、宿のイメージと切り離したい場合は、デリバリー専用の名前で出す方法もあります。どちらが合うかは、宿の方針で決めましょう。

Q. 夕食のおもてなしに影響は出ませんか?

受け付ける時間を厨房が空いている時間に限れば、影響を抑えられます。忙しい日は受付を止める運用にしておくと安心です。

Q. 今の営業許可のままで始められますか?

許可の内容や提供する品目によって異なります。始める前に、管轄の保健所へ確認してください。

まとめ:板前の技術を、宿の外の食卓へ

昼の厨房を動かすために、新しい設備も、新しい人も必要ありません。

  • 配達できる範囲に注文する人がいるかを、最初に確かめる
  • 空く時間と動ける人を書き出す
  • 宿の料理を「1人前」の形に作り直す
  • 手数料を織り込んだ価格にする
  • 全部を自分で抱えず、任せる部分を決める

この流れで、眠っていた昼の厨房を、1食目から利益が残る時間に変えられます。

∞Deliciousでは、「うちの宿の立地で成り立つか」「空き時間で何件回せるか」を一緒に確認するところから支援しています。 写真や運用をまとめて任せたい方にも対応していますので、お気軽にご相談ください。

▶ ご相談はこちらhttps://lin.ee/STXP23p

関根和樹(株式会社8Delicious 代表取締役)
17歳から飲食の現場に立ち、飲食店経営とコンサルティングに従事。5年で139名の事業者を支援。自身の店で遊休厨房を使ったデリバリーを実証し、貢献利益率約45%を確認。
主な事業:コンサルティング/飲食業/弁当事業/ケータリング事業/広告運用事業/不動産事業

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